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TROUT FISHING SPOT
ANGLERS VOICE
アングラーズボイス
和田 浩輝
KOKI WADA

偏光グラスは、ただの道具じゃない。
魚と対話する“視覚の武器”
若くしてエリアトーナメントの世界に飛び込み、数々の輝かしい戦歴をおさめるトップトーナメンターの和田浩輝さんに、エリアトラウトにおける偏光グラスの必要性と、得意とするサイトフィッシングを行う中での具体的な視線の配り方について話を聞いた。

エリアトラウトにおける偏光グラスの必要性を教えてください。
エリアトラウトは情報量が多ければ多いほど釣果アップにつながる釣りです。その多くを僕は偏光グラス越しに視覚から得ています。天候や風による全体的な魚の浮き沈みや、釣り座ごとに異なる水の流れなど、状況把握はもちろんのこと、わずか2㎝ちょっとしかない小型ルアーを遠投した先でしっかりと認識しながら、ルアーに対する魚の反応を細かく見ていく上で、高品質の偏光グラスはなくてはならない必需品です。

実際にリトリーブしている時の視線は、どこに向いているのでしょうか?
クリアないしステインウォーターであれば、視線はルアーに一番焦点をあてています。ただ、ルアーだけをずっと見ているわけではなく、ルアーを中心にその周囲にも視界を広げていくことが大事だと思っています。もちろん、濁りが強くてルアーが見えないときにはラインの入水点に焦点をあてますが、このときも水面下のルアーの位置は、かなり意識しています。管理釣り場の魚はルアーを何十回も何百回も見ているので、なかなか簡単に食ってはくれません。ルアーを中心に、その周囲にまで視線を広げておくことで、魚がルアーをどのように追っているのか、またルアーアクションやスピード変化に対して魚がどのような反応を示すかなど、魚をかけていない段階から、たくさんの情報を集めていくことができます。

例えば、魚がルアーを追っているけど、50㎝からどうしても距離が縮まらない。こんなときは、違うレンジも通してみますが、それでもダメならば、すぐにルアーの色や重さをチェンジします。目から得た情報をもとに、先へ先へとルアーローテーションをしていくわけです。特にトーナメントでは、少しでも早く正解の釣りに辿り着くことが勝ちにつながりますからね。

魚の動きを目で見ながらルアーに動きを加えたりもするのでしょうか?
もちろんです。僕の釣りは、基本的にルアーや魚を見ながら釣るサイトフィッシングですから、トップでもミノーでもボトムの釣りでも、魚の反応を見ながら積極的に誘いを入れていきます。例えば放流直後に多くなるフレッシュな魚は、広範囲で食べられるものを探していますので、竿先をシェイクしてスプーンをヒラヒラッと動かしてフラッシングで誘うなど、ルアーの存在を魚に知らせる方法をとります。2〜3m離れた先からスーッと寄ってくる魚を確認したら、ルアーとの距離を測ってタイミングよくアクションを入れて食わせるとか、かなり目に頼った釣りをしていますよ。

魚のアタリを視覚で取ることはありますか? その際、どこに注目していますか?
アタリは手元に出たほうが、フッキングもしやすくて理想です。ですが実際には、手元に伝わらないアタリもたくさんあります。サイトフィッシングの場合、僕は魚の口の中の白い部分が見えた瞬間にアワセを入れるようにしています。魚がルアーを食うために口を開いた瞬間を目で見て、いち早くフッキング動作に移るわけです。このときルアーの一点に集中しすぎると、魚が突然食ってきたときに、どうしてもワンテンポ遅れてしまいがちです。ある程度、事前に魚の動きを見ながら「これは食うな」と予測できれば、フッキング率は高まります。だからこそ、ルアーだけではなく、その周囲にまで目を配っていることが大事なんですね。魚の姿をはっきりと形として捉えるというよりも、黒っぽかったり、周囲の水と色味の違うものがルアーに近づいてくる動きを把握する感じでしょうか。これをするだけでも、取れるアタリはだいぶ増えると思います。

ちなみにトーナメント中に隣で釣っている選手を見たりすることはありますか?
隣の選手が釣ったときに、使っているルアーや色をチラッと見ることはありますが、結局、試合って、相手の真似をしてもだめなんです。後追いになってしまいますから、先にその釣りをしている相手には負けてしまいます。大切なことは、しっかりと自分のルアーを中心に視界を広げること。あくまでも自分が相手にする魚と偏光グラス越しに対話しながら、自分の釣り方で正解を見つけていくことを心がけています。

TALEXレンズはいつから使われていますか?
初めてかけたのは、中学生のときです。子どもの頃に安い偏光グラスをかけて釣り続けていたら、目の疲労から頭痛がひどくなったことがありまして。これはだめだなと。お年玉やお小遣いを貯めて、新しいルアーよりも性能の良い偏光グラスを買っていました(笑)。中学生でタレックスと出会ってからは、ずっとタレックス一筋です。レンズはトゥルービュースポーツとイーズグリーン。色々なレンズを使った結果、輪郭をかっちりと際立たせる効果よりも、なるべく自然のまま見える方が僕の釣りには向いていると思い、この2つのレンズを使っています。光量が強い夏の日中はシルバーミラーのトゥルービュースポーツを使いますが、そのほかは大好きなイーズグリーン。レンズが明るくて色も極めて自然に見えますので、朝夕や曇りなどのローライト時はもちろん、一日中イーズグリーンを使うことも多いです。

和田さんは度付きのレンズを使われていますよね。使い心地はいかがですか?
自分は近視なので、視力を1.5ぐらいに矯正する度付きレンズを使っていますが、かなり気に入ってます! それまでは釣りをするたびにメガネを外してコンタクトレンズを着けて、度なしの偏光グラスをかけていましたが、どうしてもコンタクトって釣りをしていると目に砂埃が入りゴロゴロしたりして、釣りに集中できないことがあったんです。度付きの偏光グラスはメガネから掛け替えるだけですぐに釣りができますし、目の負担も少ない。初めてかけたときは、思った以上に視界がクリアで驚きました。ちなみに、レンズの度はメガネよりも少し強めにしています。遠くの小さな変化をよりはっきり見たいからですが、それでもまったく目が疲れないのはタレックスレンズならではだと思います。

偏光レンズに迷われている方から質問をいただくことも多いのですが、「最初は安いものから……」と考えてられている方に、ぜひお伝えしたいことがあります。自分の経験上、迷わず最初からタレックスレンズ一択で間違いありません。タレックスレンズは耐久性がとても高く、長く使えますから、その後の釣りライフがずっと明るく楽しくなるはずです。特にエリアトラウトは偏光グラスがとても重要です。僕自身、今までどれだけの時間を一緒に過ごしてきただろうと考えるほど思い入れのある、自分の釣りライフに欠かせない釣り道具です。

和田 浩輝 わだ こうき
1999年神奈川県出身。全国最大級のエリアトーナメントであるトラウトキング選手権で、高校2年生の時に第16回総合2位、第17回総合優勝、第20回総合優勝。年間上位3人に与えられる称号「トリプルマイスター」を史上最年少で獲得。FF中津川カップで3年連続年間優勝。輝かしい成績を収めるトップトーナメンター。ダイワのトラウトテスター、SLPワークスのプロスタッフ、ヴァンフックのフィールドスタッフを務め、製品開発にも力を入れている。YouTubeチャンネル「コウキのドリチャン」で釣りの楽しさを発信中。