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BASS FISHING

ANGLERS VOICE

アングラーズボイス

藤田 京弥

KYOYA FUJITA

釣りが上手くなるために“TALEX”という選択

大弱冠27歳にして日本のトップバストーナメンターに君臨。
現在はバストーナメントの本場アメリカのB.A.S.S.に活躍の場を広げ、世界のトップを目指している。
この勝負師の源流が少年時代にあった。

藤田

子供の頃からバス釣りを本気でやっていたんで、小学生の全財産を釣り具につぎ込んでいました

そんな藤田少年が小学校の高学年時代にお小遣いをやりくりして手に入れたアイテムの一つが、タレックスの偏光レンズを搭載したサングラスだ。

藤田

1000円ぐらいの安物を使っていたんですけど見え方に不満がありました。もっと魚が見えれば釣果につながるんじゃないかと思って中古のサイトマスターを買いました。たしか1万円くらい。当時、雑誌などでサイトマスターは良く見えると書かれていて、タレックスのレンズが入っているのも知っていました。買ったのはブラウン系のレンズでスーパーライトブラウン。中古なのでレンズカラーの選択肢はなかったですね

これが藤田さんとタレックスの出会い。中古とはいえ小学生で偏光グラスに1万円は本気の現われ。

藤田

それを20歳近くまで使って、もう少しレンズが大きくて視野の広いものが欲しいと思い、サイトマスターの青木(大介)さんモデル(キネティック)を買いました。レンズも2色必要と感じていて、スーパーライトブラウンとイーズグリーン。金額的に2本買うのは、めちゃめちゃ勇気がいりましたけど(笑)。

それくらい藤田さんの釣りで、偏光グラスの重要性が高いということだ。

藤田

当時は釣り具を買う予算も限られていて、自分がより上手くなるには何が必要か、買うべきものに優先順位をつけて一つずつそろえていきました。その中でロッドやリール、魚探よりも優先順位が高かったのが偏光サングラス。自分はサイトフィッシングが好きなので、より見やすいものが欲しかったんです。

釣りが上手くなるために描いた道具の優先順位が正しかったのは、その後のJBトーナメントでの活躍が裏付けている。

藤田

あと、このときに買ったキネティックで気づいたのが、イーズグリーンは朝夕用というイメージが強いですけど、自分には日中もすごく見やすかった。今、使っているサングラスも一日中イーズグリーンをかけています。

よく見えて快適な視界が過酷なトーナメントで武器になる

2023年現在、藤田さんが愛用している偏光グラスはTLX015(DAIWA)。ダイワとタレックスのコラボレーションによる藤田さん監修モデルだ。

藤田

開発中にタレックスの担当者の方がすべてのレンズカラーを河口湖に持ち込んで試させてくれたんです。水中を見比べましたけど、自分の目にはやっぱりイーズグリーンが一番見やすかったですね。

ただ、藤田さんは開発中に一つの懸念があったという。

藤田

サイトマスターはガラスレンズですけど、TLX015はプラスチックレンズに変わる。それが見え方にどう影響するか。でも、1年以上全国のフィールドで実際に使ってみるとその差はほとんどないと感じました。

藤田さんの要望に応えるべく、ダイワとタレックスが意見交換を繰り返し、2年という開発期間を経て完成したのがTLX015。広い視界はもちろん、フィット感と軽さ、これらが三位一体となった完成形は藤田さんをうなずかせた。

藤田

自分はフレームデザインにもこだわりがあって。サングラスをかけたとき、すべての視野をレンズ越しの世界だけにしたいんです。それ以外の情報や景色がちょっとでも見えるとそっちに意識が向いてしまって嫌だから。TLX015はレンズサイズを大きめにして、頬やサイドの隙間をなくすようにデザインしてもらいました。顔全体にフィットする8カーブで視野も幅広く使える。レンズの端に目線を送っても違和感なく良く見えます。

藤田

アメリカではプラで12時間くらいかけっぱなしのこともあります。エリアによっては、まるで海のような高い波を何度も越えながらポイントを目指すこともあります。フィット感と軽さは正解だったと感じています。

長時間かけていても目が疲れにくく、クリアな視界と軽さを約束する偏光グラスは選手にとって強力な武器になる。それが早くも結果として現れたのが2023年エリートシリーズ第2戦レイクセミノールだ。

藤田

セミノールは基本、水は濁っているんですけど、河口湖に似たエリアが一ヶ所だけあって、ウィードが水面下80㎝くらいまで生えていたんです。朝だけ、そのウィードの上をフィーディングで泳ぎ回る魚が居て、それが結構でかい。サイトで初日に60㎝くらいの魚も釣ったし、毎日そこでウェイトを稼ぎました。

得意のサイトフィッシングで、エリート参戦2戦目にして準優勝を果たす。その景色を藤田さんはタレックスの偏光レンズを通して見ていたのだ。

サイトで頂点をつかむ。
その目元にタレックス

藤田さんの強みの一つがサイトフィッシング。水中をどのように見ているのかも気になるところだ。

藤田

最初は背景の色とちょっと違うかな、というところを見ます。それはバスに限らず、ストラクチャーを見つけるときも同じです。とくに視野を広くという意識はしていなくて、普段の生活と同じ感覚で見て、〝何かあるな〞と背景と違いがあれば魚かどうかを判断します。

“何か”がバスだったら釣るためのアプローチを仕掛けるが、その手法は状況に応じて千種万様だという。

藤田

ただ、ルアーを投げる前に喰う魚かどうかの判断はします。バスが釣り人に気づいていないことが大前提で、魚の体型や色を見ます。ちょっと痩せ気味の魚のほうがサイトで喰わせやすく、太くてツヤツヤしている魚はサイトに限らずルアーで騙すのが難しいです。

バスのシルエットや体色を見る上でも、より鮮明に見えるタレックスの偏光レンズが役立つ。

藤田

痩せたバスは基本、エビがメインベイトで、いつもお腹を空かせているせいか喰わせやすい。太くてツヤのあるバスは小魚を追い回してる魚。栄養のあるエサをたくさん食べているからルアーに反応しにくい。アメリカのバスは太くてツヤツヤしているタイプが多いです。

ここに日本とアメリカの戦略の違いが現れるそうだ。

藤田

自分はアメリカのフィールドでエビを見たことがないです。日本はエビがメインベイトのフィールドが多いからスローな釣りにいきがち。アメリカは10㎝くらいのシャッドがメインベイトになってるフィールドが多いからクランクやバズベイトなど、あのくらいのサイズ感とスピードのルアーが効くことが多いです。

さらに試合もアメリカ仕様の戦い方へのシフトを考えているということだ。

藤田

エリートの前半戦は、春に開催されます。例えば3位に入った2023年3戦目(4月20日〜23日レイクマーレイ)ですけど、ちょっと沖めのディープでプリ(スポーン)のでかい魚を狙って、3月のプリプラクティスでは一日に30ポンドいく日もありました。試合もディープのプリ狙いで勝負したんですけど、日に日にでかい魚がシャローに寄って後半に失速した。来季は状況に応じて、シャローをうろつくでかいバスも視野に入れないといけないと考えています。

3日目に首位に立ったが、最終日にシャローを撃つアングーに逆転を許す。優勝を目前にしながら、シャローのでかいバスに負けた。それは他ならぬ藤田さんの得意とするサイトフィッシングである。来季、勝つためのサイト力に磨きをかけるためにも偏光グラスの重要性がさらに高くなる。タレックスの偏光レンズ越しに送られる藤田さんの視線の先に、近い将来、エリートシリーズ年間チャンピオンやバスマスタークラシック優勝のビッグタイトルが見えてくるはずだ。

藤田 京弥 ふじた きょうや

1996年埼玉県出身。2017年にJBトーナメントにデビュー。翌年JBトップ50に昇格すると初年度で優勝&年間ランキング2位。2019年と2021年にはAOYを獲得するなど国内最強アングラーの地位を不動のものとし、2022年からB.A.S.S.バスマスターオープンシリーズに参戦。本場アメリカでも得意のサイトフィッシングと魚探サイトで破竹の勢いをみせ、わずか1年でエリートシリーズ昇格を果たす。