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KEIRYU FISHING

ANGLERS VOICE

アングラーズボイス

井上 聡

SATOSHI INOUE

渓流釣りの名手が20年以上使い続けるレンズカラーとは?

美しい木々に囲まれた清流に立ち、複雑な流れに餌を投じる。 目印の向きや動きを頼りにイメージした場所へと導けば、美しい渓流魚との出会いが待っている。 その出会いを確実なものにするには、目から得る情報は確かで多い方がいい。 そう語るのは、渓流釣り歴45年以上のプロアングラー井上 聡さん。 井上さんはTALEXのとあるレンズカラーを20年以上愛用し続けているという。 渓流釣りを楽しむために、井上さんは、どのレンズカラーで何を見ているのかを訊いてみた。

渓流でイワナやヤマメを狙う際の、偏光グラスの役割を教えてください。

私がやっている餌釣りの場合、まず仕掛けにつけた目印を見るために偏光グラスが必須となります。基本的に水面の近くにある目印を目で追いますから、常にキラキラと太陽を反射する光が目に飛び込んでくるわけです。その光を抑えながら目印をくっきりと見るために、良質な偏光グラスは、なくてはならないアイテムなのです。
目印はまず魚のアタリを伝えてくれます。引き込まれたり止まったりすることで、魚が餌をくわえた動きがわかります。また、仕掛けがしっかりと狙った層に入っているかどうかの判断も目印を見て行います。目印は通常、ラインに2、3個離して付けますが、目印同士の位置関係により、糸が立っているか寝ているかの判断もできます。餌の流れている場所を把握するにはラインの角度を知ることがとても重要なのです。

目印の他に、どのようなところを見ていますか?

狙う場所の水深や、水面下の石の輪郭を見ることも重要です。渓流魚はとても警戒心が強いので、流れてくるエサを食べながらも、その近くには身を守る場所が必要なんです。鳥がきたらサッと逃げ込めるような場所ですね。よって岩の下が深くえぐれていたり、水深がどのぐらいあるかなど、水中のコントラストを正しく把握することがポイント選びにおいてとても重要となります。 また、餌釣りでは流れの中に「波目」を見なければなりません。波目とは様々な流れの境目のことです。川は一様に流れているわけではなく、底から水面に吹き上がる流れもあれば、水面から川底に引き込む流れもあり、これら様々な流れが複雑に絡み合っています。餌をしっかりと魚のいる川底に導くには、吹き上がりの周囲にある引き込みの波目を見極めなければなりません。そのためにも高品質の偏光グラスは必要です。 また、ダイレクトに水中にいる魚を見ながら釣ることもあります。ヤマメやイワナは警戒心が強いので岸際には不用意に近づけませんし、身を低くするため視線の角度も低くなりがちです。秋口のヤマメは瀬尻で産卵を意識した行動を取り始めますが、これらを見ながら完全なサイトフィッシングで狙うこともあります。こんな釣りができるのも、水面の反射を抑えつつ水中の輪郭をはっきりさせてくれる偏光グラスがあるからこそです。

本流の釣りも得意とされていますが、渓流と大きく違う点は?

本流は、渓流に比べて川幅が広くて傾斜が緩やかなぶん、波目が柔らかい傾向があります。「波目が柔らかい」とは、「はっきりしていない」ということです。この見極めの難しさが本流の釣りの魅力でもあります。質の良い偏光グラスをかけることで、ハイレベルの釣りを存分に楽しめると言えるでしょう。また川底の石の輪郭を見ることも、重要になってきます。本流は水深があり、なおかつ波立ちも高いため、水面上から判断しづらい場面が多く、水中の状況把握がとても大切になってくるんです。石が多いか少ないか、石が大きいか小さいか、また石のどちら側がより掘れているかなど、偏光グラス越しにできるだけ具体的に把握することで有利に釣りを進めることができます。

オススメのレンズを教えてください。

特に日当たりの良くない渓流で釣る場合は、ローライトでも見やすい明るめの偏光レンズが役に立ちます。私は中学生の頃に渓流釣りをはじめ、その頃から偏光グラスは使っていますので、かれこれ偏光グラス歴は47年ぐらいになります。当時はグレー系の暗いレンズが定番で選ぶ余地もありませんでしたが、タレックスのイーズグリーンと出会ってからは、薄暗い時間帯でも明るく見えるこのレンズカラーが大好きになり、以来ずっと使っています。レンズにムラがなく外周にひずみがないのもいいところ。日差しの強い日中はトゥルービュースポーツなどもマッチしますが、ひとつ選ぶなら私はイーズグリーン。1日を通してかけ続けても目に優しく、川底の石の輪郭もくっきり出ますから。仕掛けを流している時だけでなく、安全に渡渉するためにも重宝しています。なにより朝夕のまずめ時に効果を発揮してくれるので、単純に釣れる時間帯が増えるんですよね(笑)。

現在愛用するサングラスについて教えてください。

2022年からシマノSTLサングラスを使っていますが、かけた瞬間とてもしっくりきたんです。長くかけていても顔への負担がなくて、周囲の余分な光を取り込まないフォルムも気に入ってます。私は近視と乱視があるため、度を入れて作っていますが、どこを見てもひずみがなく、見え方がとても自然なのもうれしいですね。抜群の掛け心地と相まって、まさにストレスフリー。 渓流釣りや本流釣りの魅力は、常に変化する川の自然の美しさに身を置くことです。すべてのストレスから開放され、明るい偏光グラスを通して変化に富んだ流れを楽しみながら、美しい魚を釣り上げる。そこに大きな魅力を感じています。

井上 聡 いのうえ さとし

オフィシャルTouTubeチャンネル「釣楽一生」

1960年生まれ、群馬県在住。15歳から本格的な渓流釣りをはじめて以来、本流釣りや渓流釣り、さらにはワカサギ、アユ釣りまで、マルチに淡水の釣りを楽しみ、その釣り方と魅力を追求するオールラウンダー。ホームグラウンドは利根川。四季折々、旬の魚や大型魚を求めて全国をまわり、テレビ、雑誌、ウェブなどで発信を続けている。「奔流倶楽部渓夢」会長。シマノのアドバイザー。