Scroll

HERA FISHING

ANGLERS VOICE

アングラーズボイス

伊藤 さとし

SATOSHI ITO

目が疲れたり、視界がぼやけたりすることは許されない。

魚釣りの原点ともいわれる、ヘラブナ釣り。 極めれば、ウキの動きひとつでサカナの反応はもちろん、水中の状況すべてが手に取るようにわかるという。 この釣りのエキスパート、伊藤さんは管理釣り場から野釣りまで、 様々なフィールドで、繊細かつ理論的な釣法で見事にヘラブナを攻略していくプロアングラー。 伊藤さん曰く、ウキの動きで情報を得るヘラブナ釣りでは、 良質な偏光サングラスが必要不可欠だという。その真意を語ってもらった。


ヘラブナ釣りにおける偏光グラスの必要性を教えてください。

まずヘラブナ釣りが他の魚種と違って独特なのは、すべての情報を直径1~1.2㎜のウキのトップ(先端)の動きで判断するという点です。魚の密度や寄り具合、地形変化、そしてもちろんエサを食った時のアタリなど、これらすべてをウキの細いトップの目盛りで判断します。特に厳寒期はトップの動きがわずか数ミリというケースもしばしばです。これらすべての情報を視覚から得るわけですから、ヘラブナ釣りにとって、良質の偏光グラスはなくてはならない必須ギアと言えるでしょう。 ここ数年、管理釣り場のヘラブナ釣りでは、とくに釣りの繊細さが求められるようになってきました。使うウキのトップもより細く、目盛りの色分けもより細かくなっています。そんな状況下において、トーナメントは朝7時ぐらいから午後3時ぐらいまでの長丁場で行われます。8~9時間にもおよぶ過酷なレースに勝つためには、途中で目が疲れたり、視界がぼやけたりすることは許されません。つまり、ウキが見やすく目が疲れない偏光グラスが必要不可欠というわけです。タレックスのレンズはまず目が疲れない。そして明るくクリア。ヘラブナ釣りに必要な要素が詰まったレンズといえるでしょう。

管理釣り場のヘラブナ釣りはなぜ、繊細さが増しているのでしょうか。

近年、ヘラブナが大型化しているという事情があります。10~15年ぐらい前は一枚のアベレージが300~400g、長さでいうと25~30㎝台のヘラブナが多かったんです。そのサイズのヘラブナは、警戒心がさほど強くなく、意外と素直にエサに反応してきたり、吸い込み方も大きく、ウキがダイナミックに動くのが普通でした。ところが近年、大型魚のニーズが高まるにつれて、釣り場で尺ベラなど大型魚の放流が増えてきました。トラウトの管理釣り場も同じかと思いますが、「大型のヘラが入っている」ことが宣伝文句になっているようです。いまや一枚で800gから1.5㎏ぐらい、全長にすると35~45㎝ぐらいの魚が増えてきています。 当たり前のことですが、大きな魚ほど警戒心が強く、簡単にエサを喰いません。仕掛けの落下も嫌がりますし、警戒心が強くエサを吸い込む力も弱くなります。よって、ウキに出るアタリがどんどん小さくなってきたのです。その結果、わずかなウキの動きを見極めるためにウキを小さくしたり、トップを細くしたり、目盛りを細かくする傾向が強まりました。

つまり以前とは釣りのスタイルが変わってきたということですね?

そうですね。10~15年ぐらい前の釣り雑誌を振り返ってみると、偏光グラスをかけている人はトーナメントシーンでも、あまりいなかった印象があります。今ではシマノのトーナメント「ジャパンカップ」でも、7割ぐらいの方が偏光グラスをかけています。必要性が高まった表れでしょう。特に20~30代の若い世代が繰り広げる繊細な釣りには、マストアイテムと言っても過言ではありません。

食いアタリのほかに、魚の密度や寄り具合もウキからわかるとのことでしたが…。

はい。ウキが立ってトップが沈んでいく時の加減で、仕掛けの周りにいる魚の密度を知ることができます。魚がたくさんいると水流が起きて仕掛けが入りにくくなりますので、ウキのトップもスーッと入らず、フワッフワッとゆっくり入っていきます。単に食いアタリを取るためだけではなく、繊細なトップの沈み具合から自分の釣るレンジにいる魚の量を知るためにも、偏光グラスの役割はとても大きいと思っています。 また、2つのエサを底に着ける「底釣り」では、魚が寄ってくると、若干ですが地形が変化するんです。魚の動きによって、底に溜まった泥が掘れたり隆起したりするわけです。そんなわずかな地形の変化もウキのトップにある細かな目盛りには表現されますので、そのようなわずかな変化を読み取る上でも、上質の偏光グラスはなくてはならないアイテムだと思います。

野釣りではいかがでしょうか?

野釣りでは場所選びが釣果に大きな差をもたらします。ボートでまわりながら偏光グラスで水中を見て、オダなどの障害物やブレイクラインなどの地形を確認してポイントを見極めていきます。基本的にボート位置はウキが見やすい所に定めますが、どうしても見づらいことがあります。たとえば対岸の山に太陽光が反射したり、今まで綺麗な新緑だったところが斜光が入ることで一気に白く光ってしまう時もあります。特に谷の深いリザーバー(ダム湖)では、むき出しになった岩盤に太陽光が射したりすると、もうピカピカに光ります。そんな時にはトゥルービュースポーツなど濃いめのレンズを用いることで、目の疲れを抑えつつ、トップの目盛りだけを明確に浮かび上がらせることができます。 夏場の野釣りでは、風を正面から受けるポイントのほうが魚の活性が上がったり、魚が寄ったりしやすい傾向があります。べた凪よりも南風が吹いて水面にさざ波が立つぐらいのほうが活性が上がって釣りやすくなりますので、波立つ水面の中にあるウキの動きを見やすいかどうかは釣果の分かれ目になりますから、偏光グラスの必要性はとても高いです。 秋から冬にかけては、.夏とは逆に風裏に入り、北風を背に南を向くポイント選びをします。すると今度は朝から夕方までずっと逆光です。朝の8時ぐらいから午後4時ぐらいまで一日中太陽と向き合っての釣りになりますので、光を適度に遮る偏光グラスは必須となりますね。

シマノ×タレックスで開発されたSLT301の使い心地を教えてください。

掛け心地の良さが感動的でした。耳に乗せて鼻のところでフィットする感じに違和感がまるでなく、かけていてストレスを感じることが全くありません。それでいながらズレもない。さらに横からの光も入りづらいため、水面の波立ちによる横からの反射光も気になりません。そして何よりトゥルービュースポーツの視界。着用した瞬間、すごく奥深く視野が広がったのを感じたんです。今までに経験したことがないほどの新感覚でした。僕らは細いウキのトップを見るわけですが、スッと一点に集中してウキを見ることができたことにびっくりしたんです。かけた瞬間に「これどうなってるの?」と思うぐらい。他の光が入らず吸い込まれるようにウキが見えたのが印象的でしたね。 ヘラブナ釣りって、特に野釣りなどでは周りの外的要素を気にしながら釣ることもある一方、いかにウキの動きだけに集中して釣りを組み立てられるかということが非常に大切なんです。STL301は、周りのものがまったくじゃまにならずにウキだけに一点集中できる能力にとても長けています。 「かけた瞬間からウキに集中できる偏光グラス」この感覚は、使えばみんなが感じると思いますよ。

伊藤 さとし いとう さとし

オフィシャルブログ

1959年生まれ、埼玉県在住。テレビ、ウェブ、雑誌などの出演・執筆で活躍。管理釣り場から野釣りまで幅広いフィールドでのヘラブナ釣りの釣り方や魅力を発信。「シマノジャパンカップへら釣り選手権大会」などトーナメントシーンほか、あらゆるヘラブナ釣りを理論的にわかりやすく解説するコメンテイターとしても多くの支持を集める。アイファークラブ、日本へら鮒研究会板橋支部、武蔵の池愛好会に所属。シマノへらインストラクター。