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AYU FISHING

ANGLERS VOICE

アングラーズボイス

西部 俊希

TOSHIKI NISHIBU

コケが食まれた石のツヤが見える

アユ釣りが盛んな岐阜県に生まれ育ち、まだ30代前半の若さながら、主要な釣りメーカーが主催する全国規模の友釣り競技会で数々の好成績を収めている西部俊希さん。生きたオトリを繊細にコントロールする技術の細やかさ、急流に立ち込む豪快さ、さらに新しい釣法を研究して取り入れる柔軟さを併せ持ち、40代、50代のベテランも多く活躍するアユ友釣りのトーナメントシーンにおいて、すでに実力派オールラウンダーとして名を馳せている。2023年も6月に長良川で開催されたJFTコムテックカップ全日本アユトーナメントにおいて見事優勝を果たした。そんな西部さんがTALEXレンズ搭載の偏光サングラスを使い始めたのは、社会人1年目のシーズン。満を持しての選択だった。

アユ釣りは視覚による情報判断が非常に重要な釣りです。アユの姿やハミ跡はもちろん、石の色はどうか? そもそも石がどう並んでいるか? そうした情報をストレスなく見えることが必要になります。ですので、偏光サングラスの重要性については、早くから意識していました。ただ、学生のうちは余裕もありません。競技会にはすでに参加していましたが、偏光サングラスはそれなりのもので我慢していて、大学を卒業した社会人1年目に、定評のあるTALEXレンズを搭載した偏光サングラスをようやく手にしました。

レンズカラーは裸眼に近い感覚で変化が見分けられるトゥルービュースポーツでしたが、すると期待どおりの性能を実感できましたね。最も驚いたのは石の〝ツヤ〟までをはっきりと感じられるようになったことです。アユがコケを食んだ石には独特のツヤが出ます。そのツヤのあるなしというのが、ポイントを見極める非常に重要な要素なのですが、TALEXレンズは、ただ色が違うというだけでなく、石のツヤが目でわかる。性能のいい偏光サングラスをすると、こういう見え方をするのかと驚くとともに、判断により迷いがなくなりました。

フィット感が高く締め付けのないフレームで釣りに集中

以来、自分の釣りにはトゥルービュースポーツが基本のレンズカラーになっていますが、フレームは視野の広いダイワのTLX-012や022を好んでかけています。自分は他の人と比べて激しい動きをすることが多く、たとえば真剣勝負の競技会だと、ねらったポイントに入れるように河原を全力で走ったり、ポイント移動で波立ちの大きな瀬を切ることもあります。TLX-012やTLX-022は、そのような時でも顔にしっかりフィットしてくれてずれる心配がありません。それでいて締め付け感は全くないので、長時間の釣りでも集中できます。あとはゼクーのワルツも掛け心地に特化した構造のチタン製フレームでフィット感も高く、とても快適でした。いずれにしても、レンズの性能を引き出してくれるフレーム選びもやはり大切だと感じています。

それと、以前はコンタクトレンズをつけて、度なしの偏光サングラスをかけていたのですが、今はレンズに度付きのトゥルービュースポーツを入れて使っています。周囲にすすめられて試してみたのですが、実際に度付きレンズにしてみると、コンタクトとの併用時には避けられなかった目の乾きもなくなり、今まで以上に釣りが快適になりました。

トゥルービュースポーツとライトスポーツ、光量に合わせて2タイプのレンズカラーを愛用

川は地域ごとに個性があり、場所によって黒っぽい石が多い川だったり、あるいは黄色っぽい石が多い川だったりしますが、その中で見え方が裸眼に近く、色の判断に迷いが生じないトゥルービュースポーツは、度なし・度つきに関係なく、基本のレンズカラーになります。

そして去年から使い始めて、効果を感じるようになったもうひとつのレンズカラーがライトスポーツです。ライトスポーツは、トゥルービュースポーツの自然な色の見え方は引き継ぎつつ、曇りの日や朝夕のマヅメ時など、より低光量の条件下でも使いやすいという明るめのレンズカラーです。TLX-012や022用としてはまだプロトタイプということなのですが、試しに使用させてもらうと新しいメリットを感じられる場面が多くありました。

一番は川に薄く濁りが入っている時です。川が濁っていると、当然ながら流れの中の石が見えなくなります。その時、川の表面の波立ちが、水中の石のようすを想像するヒントになるのですが、ライトスポーツをかけていると、トゥルービュースポーツに比べて水面からの反射光のカットがソフトになります。それが有利に働き、波立ちの変化がより捉えやすいと感じる場面がありました。

実は優勝したジャパンカップの決勝戦がまさにそうした状況だったのです。そんなこともあり、あえて明るい日中にライトスポーツをかけて釣りをしてみたりもしたのですが、さすがに日中で逆光といった条件になると眩しかった(笑)。やはりオールラウンドに使える基本のレンズカラーはトゥルービュースポーツですが、とはいえそれだけにこだわらず、他のレンズカラーも試してみれば、条件によって役立つ場面があると感じています。
今シーズンもまずは両方のレンズカラーを使って、試合でもいい成績を収めたいですね。

西部 俊希 にしぶ としき

岐阜県関市在住。長良川支流の津保川のほとりに生まれ育ち、釣り好きの父と祖父のもと、小学3年生の時にアユの友釣りを始める。高校3年生の時、腕試しに出場した地元釣具店の釣り大会で準優勝。以来、幾多の選手が挑戦する競技会の楽しさに目覚め、2016年にダイワ鮎マスターズで全国決勝大会に初進出。2017年には25歳でG杯争奪全日本アユ釣り選手権優勝を果たし、2022年にはシマノジャパンカップ鮎全国大会でも優勝するなど、気鋭の若手トーナメンターとして活躍している