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BASS FISHING
ANGLERS VOICE
アングラーズボイス
青木 唯
YUI AOKI

僕は常にタレックス・イーズグリーン越しの世界を見ていたい
国内のトーナメントシーンを席巻し、現在は活躍の場を本場アメリカに移している青木唯さん。サイトフィッシングの名手として知られる青木さんだが、偏光サングラスをかける理由は水中や魚を見る、という理由にとどまらないようだ。

青木さんにとって、偏光サングラスとはどのようなものでしょうか?
絶対になくてはならないギアです。釣りに限らず私生活でも、僕は室内にいるとき以外、外出する際は常にタレックスレンズの偏光サングラスをかけています。
たとえば、僕が今戦っているアメリカでは、その広大な国土からボートを牽引しての車の移動距離がとても長く、「片道1000㎞か。近いな」という感覚です(笑)。その時に、偏光サングラスをかけているかどうかで、目の疲労はかなり変わってきます。雑光をカットしてくれて視界が良好になるのはもちろん、アメリカは紫外線も強いので。偏光サングラスのない釣りや運転は、不便とかというレベルではなく、もう考えられないですね。

釣りに関しても、回収時に飛んでくるルアーから目を守ったり、バスボートの高速走行時の目の保護として必ず必要なものです。僕が参戦しているオープンカテゴリーではコアングラー(ボーターの後ろで釣りをするノンボーター)が同船することもあるので、とにかく不意の事故で目を危険にさらしたくないんです。

釣りの武器として偏光サングラスを使用する際、魚を見つけるためのコツはありますか?
魚を見つけるには「度数矯正された視力」と「魚を探す視力」のふたつが必要だと思っています。まずひとつめの「度数矯正された視力」について。実は、僕って裸眼の視力はそこまで良くなくて、普段はコンタクトなんですが、その上に度付きのタレックスレンズを入れてもらったDAIWA TLX偏光グラスを掛けています。つまり「コンタクト+度付きレンズ」。裸眼の状態に合った強めの度付きレンズだと、どうしても視野の外側に出るわずかなゆがみが気になるのと、そもそも暗いシーンでサングラスが外せなくなってしまいますから。だから僕は日常生活を送るのに困らないレベルに矯正したコンタクトレンズを付けて、そこに少しだけ乱視矯正した度付きのタレックスレンズで視力を+αしたところ、さらにクッキリとした視界が広がって、初めてかけた時は「凄いな!」って驚きました。視界全体が明るくなって、かなり先の景色まで見渡せるようになりました。これは以前の度なしの偏光サングラスを使っていた時と比べて、明確な変化を感じる部分です。

次に「魚を探す視力」についてですが、僕はむしろ『魚を探さないこと』が大事なんじゃないかと思っています。というのも、サイトフィッシングが得意な人が実際にやっているのは、“魚を直接探す”ことではないんです。彼らが見ているのは、ボトム(底質)やウィードといった水中に在るモノ。そこにピントを合わせて、視界全体を広く見渡しています。すると、視界の中にふと“異物”が入ってくる。それを魚だと認識するんです。つまり、魚そのものを目で追うというより、水中の風景の中にある“違和感”を捉える感覚。これを繰り返していくうちに、自然と無生物(たとえば石や倒木)と、生物(魚)を見分けられるようになってくるんです。

タレックスには複数のレンズカラーがありますが、イーズグリーンを特に愛用する理由を教えてください。
ピーカンのときはトゥルービュースポーツをかけることもありますが、できたらずっとイーズグリーンで通したいというのが本音です。僕は常にイーズグリーン越しの世界を見ていたい。厳密に言うと、なるべく偏光サングラスを長時間外さず、かつ同じレンズカラーで視界をキープしたいんです。時間帯に関係なく、最も長くかけていられるのが、暗い時間帯でも使えるイーズグリーンなんです。なぜそこまでこだわるのかというと、あらゆる“変化”を見逃したくないからです。

偏光サングラスはサイトフィッシング専用の道具だと思われがちですが、それはあくまで機能の一部にすぎません。
実際、僕が今主戦場としているアメリカのフィールドでは、日本と違ってサイトフィッシングをする機会はそれほど多くないんです。たとえば、アメリカの試合では直前のプラクティスは3日間しか許されていません。その限られた時間で広大な、しかも経験値もない湖中を走り回り、有望なエリアのチェックや危険な航路などを確認する必要があります。そのとき、まずチェックしたいのが水の色の変化。バスボートで移動しながら、「あのクリークは濁ってるな」とか、「あそこはサンドバーっぽくて浅いな」といった気づきがヒントになるんです。でも、光量に応じてレンズカラーを替えたり、「ちょっと薄暗いから」と偏光サングラスを外したりしてしまうと、そうした微妙な変化を見落としてしまう。どんな時間帯でも常にイーズグリーン越しにフィールドを見ているからこそ、そういう重要な“違和感”に気付けるんです。

あとイーズグリーンは、明るいのに水面の反射をカットしてくれるので、水面から少しだけ出ている立木なんかにも気づきやすいんです。僕は、けっこう危なっかしい航路でも最高速で突っ切るタイプなんですが、タレックスレンズ性能のおかげで、そうした思い切った勝負にも踏み出せています。それと、意外と知られていないんですが、タレックスレンズは水中だけでなく、魚探の画面も見やすくしてくれるんです。細かな映像もくっきり映るので、実はこれがかなり助かってるんですよ。

まだ偏光サングラスをかけたことがない方。もしくは、もっと快適になる偏光サングラスを使いたい方にアドバイスをお願いします。
自分に本当に合った偏光サングラスをぜひ見つけてほしいですね。レンズカラーも合う・合わないは個人差がありますし、僕のようにコンタクトを付けた上で度付きレンズで視力を補ってやることで、もっと見えやすくなることもありますから。
タレックスさんのショールームに行けば、それらすべての相談に乗ってくれて、いろんなレンズカラーを試すこともできます。レンズのプロと一緒に選んで自分にフィットさせた偏光サングラスを使うと、今までとの違いに感動すると思います。


青木 唯 あおき ゆい
1999年生まれ。山形県出身。バスフィッシングを初めてわずか4年で国内最高峰のトーナメント「JBTOP50」にクオリファイ。その後も破竹の勢いで優勝を積み重ね、2024年からはアメリアのB.A.S.S.オープンに参戦しトップカテゴリーであるエリートシリーズへの昇格を目指す。今年3月に行われたケンタッキーレイク戦を優勝し、来年度のバスマスタークラシック出場権を獲得。