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AYU FISHING

ANGLERS VOICE

アングラーズボイス

小沢 聡

SATOSHI OZAWA

タレックスレンズで、
もう一花咲かせたいと思うとるんです

シマノ・ジャパンカップ連覇を含め、大会史上初となる4度の優勝を達成。各地の全国大会で多数の優勝経歴を持つ小沢 聡さんに、アユ釣り競技における偏光グラスの必要性を聞いた。

アユ釣りにおける偏光グラスの必要性を教えてください。

アユ釣りはとても目を酷使する釣りです。ギラギラに太陽が照りつける炎天下で一日中目を使って釣りをしますから、まずなんと言っても偏光グラスをしないと目の疲労度がものすごいんです。ただ、太陽光の反射を防げればいいというわけでもないんですね。これは実話ですが、仲間でアユ釣りに行くたびに吐いてしまう人がいたんです。シーズンに何回も繰り返すから病気じゃないかって本人も悩んでいましたが、原因は歪んだ偏光グラスでした。その歪みが悪影響を与えて気持ち悪くなってしまっていたんですね。偏光グラスを良いものに変えたら具合の悪さはピタッとなくなりました。僕も安い偏光グラスを使っていた頃は、釣りを終えると目が真っ赤に充血しとったんですが、タレックスの偏光グラスに変えてからは、そんなことは一切なくなりました。

何よりもまず目を守るために必須ということですね。実際の釣りには、どのように役立っているのでしょうか?

アユ釣りは、オトリを操作する技術はもちろんですが、それと同じぐらい釣果を伸ばすにはポイントを見極める目が必要です。アユという魚は他の魚と違って石の上にハミ痕を残します。アユが石に着いたコケ(付着藻類)を食べた痕が残るわけです。それを見て、ここにはおるとか、ここは薄そうだとか、アユの密度を判断することができます。
またハミ痕は、それがあるかないかだけでなく、石の輝きにも表れます。それが重要な判断材料となるんです。アユがたくさんコケを食むと、石に輝きや艶が出てきます。良い偏光グラスをするとこれがよくわかる。石の艶や輝きが浮き立って見えるんです。

大会などの競技の場合、竿を出す前に勝負が決まってしまうことも実際多いものです。それだけポイント選びは重要だということです。ハミ痕をしっかり見て、外すことなく正確にポイントを選べることは、アユ釣りにとって、とても大切なことなんです。

良い偏光レンズだとハミ痕がよく見えるのですね。深い所の魚も見るのでしょうか?

いくら良いレンズを使っていても深い所はなかなか見えません。ただ、自分の足元近くの浅い所にある石を確認するだけでも十分参考になります。見える範囲の石を偏光レンズ越しに確認し、石が輝いていれば、その一帯のアユの密度が濃いということがわかりますので、深い所にもアユがおると判断できるのです。

では、ポイントを決めて、実際にオトリを泳がせる時はどこを見るのですか?

釣りをしている最中は、石よりも水面近くの糸や目印を見ます。水面のギラギラをしっかり取り除いてくれる偏光グラスはやはり必須です。とはいえ、僕は老眼がだいぶ入っているもんですから、なるべく明るめのレンズを選んでいます。老眼になると、朝夕の薄暗い時間帯や雨の日はすごく手元が見にくくなりますからね。明るいのにしっかりと水面のギラツキを押さえてくれるタレックスレンズは、とても重宝しています。
基本的には明るさに応じてトゥルービュースポーツとイーズグリーンを使い分けています。カンカンに晴れていればトゥルービュースポーツ。曇りの日や、あまり開けていなくて日陰の多い渓流相の川ではより明るいイーズグリーンを使っています。今年はラスターオレンジと、ミラーモデルも新たに手に入れましたので、シーズンを通してどのような場面でマッチするか、色々と試してみようと思っています。

小沢さんは遠近両用レンズを使われているとか?

はい。視力は0.7ぐらいはあるものですから、これまで近眼の度は入れていませんでしたが、昨年、近眼の度を入れたものを試してみたら、だいぶ違うことを実感したんです。目印や糸がクッキリ見えるようになりました。これにより、オトリ操作の精度がだいぶ上がった気がします。それまでは目印がどの辺にあって、オトリがどの辺にいるのかが、ざっくりとわかるぐらいのレベルだったんです。近視の度を入れたら、急に糸のたわみや目印のわずかな振れ方までわかるようになったもんですから、随分効果はあるものだなと実感しています。

糸のわずかなたわみが見えると、釣りはどのように変わってくるんですか?

アユ釣りはオトリを操作する上で、糸の張り加減がものすごく大事なんです。糸のわずかなたわみがわかると、糸の張り加減を微調整しやすくなります。より繊細にオトリ操作ができるようになる、というわけです。
実際、私が若い頃は視力が1.5ありましたから、糸のたわみも目印も、はっきりと見えていたのでしょう。歳をとるとじわじわと近視が進み、そういうものが見えなくなっていたんだけれども、気づかずにそのままでやっとったもんですからね。今回、改めて度の入った偏光レンズを着けてみたら、最近まで見えていなかったものがクッキリ見えるもんですから……。若い頃は、ここまで全部見えていたんだなって、改めて発見しました。

大会を総なめにしていた時代ですね。

大会で強かった時代は、まだ若くて視力が良かった頃なんですよ。友釣りの釣果を決める要素は大きく3つありまして、まず仕掛けや竿などの釣り道具、次に釣り方の技術、そして3つ目はポイントを見る目となります。この3つをバランス良く上げないと競技で上位には行けないと思うのですが、ポイントを見る目には、視力とともに偏光グラスの力がものすごく効いてきます。おそらく上位入賞を続けていた頃は、良い偏光グラスを使っていた上に視力も良かったので、ポイントを見極める精度もアユを操作する精度もすごく高かったんだろうと思います。

今回、知らない間にだいぶ視力が落ちていたんやなと知って、成績が落ちとったのはそのためか?とも思いました。視力が回復したら、あらゆる判断がつけやすくなりましたからね。そうしましたら、昨年はその効果なのか、数年ぶりに全国大会で3位に入賞できたんです(第53回報知アユ釣り選手権・オーナーカップ)。全国大会の表彰台に乗るのは大変なことなんやけど、久しぶりにね。その大会で優勝すると、名人に挑戦できる権利を得られたのですが、その名人に君臨しているのが、弟の剛(小沢剛さん)なんです。

兄弟対決のチャンスだったのですね。

そうです。そんなドラマチックな展開を期待されたんですけどね(笑)。でも、レンズに度をつけたおかげでだいぶポイントが見えるようになりましたし、このまま復活できんかな?という期待もあります。僕はもうすぐ58歳になりますが、このぐらいの年齢でも全国大会を優勝する人はいますから、僕もタレックスレンズで、もう一花咲かせたいと思うとるんですわ(笑)。

小沢 聡 おざわ さとし

1965年生まれ、愛知県在住。シマノ・ジャパンカップ2001、2002、2008、2012年優勝。4度の優勝は史上初。2022年は報知アユ釣り選手権・オーナーカップで3位入賞。YouTubeチャンネル「おざわさとし友釣りライフ」で友釣りの魅力を発信中。弟は小澤 剛さん。