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AYU FISHING
ANGLERS VOICE
アングラーズボイス
小澤 剛
TSUYOSHI OZAWA
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TALEXレンズに変えてから
優勝回数が圧倒的に増えた
シマノジャパンカップ、ダイワ鮎マスターズ、オーナーカップ、G杯とメーカー主催の4大アユ釣り競技会のすべてで頂点に立った唯一の存在。まさに日本を代表するトップトーナメンター小澤 剛さん。引き釣りの名手で多くの友釣りファンに影響を与え、現在も精力的にトーナメントに参戦している。 彼は15年以上前からTALEXレンズの有効性に着目し、複数のレンズカラーを様々なシーンで使い込んできた一人。どのような石を、どのレンズカラーで見れば、釣果に結びつけることが出来るのか? 具体例を交えて解説いただいた。
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圧倒的といわれた競技成績でTALEXレンズはどのように役立っているのでしょうか。
なにより僕の場合、圧倒的に優勝回数が増えたのは、TALEXのレンズに変えてからなんですよ。確か38歳ぐらいから使い始めたと思いますが、最初に着けた時は衝撃的でした。「こんだけ川底がクリアに見えるのか!」と。それまではメガネの上に嵌めるクリップタイプのね、千円ぐらいのを使っていたのですが、安いやつは目にもよくないし、いい偏光グラスを着けたいなと思ってコンタクトレンズにして、TALEXレンズの付いた偏光グラスに変えたんです。かけた瞬間、まず軽さに「なんじゃこりゃ!」と(笑)。そして水面下の川底を見て「こんなに違うんや!」と驚いて、それからずっとですね。
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それが大会の成績にも直結したということですね。
はい。その直後に年間で5大会しかない全国大会で4度優勝という記録を打ち立て、4年連続で複数回優勝を果たすこともできました。30代後半から40代前半は、心・技・体いずれも充実しきっていたこともあるし、運もものすごく強かったと思います。ただ、やはりアユ釣りにおける基本中の基本は「川を見る」ことであり、海釣りならば魚群探知機をかけているのと同じことですから、偏光グラスを変えてポイントが見やすくなったことは確実に成績に貢献したと思います。アユがおらんところに竿を出しても絶対に釣れんのでね(笑)。
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「川を見る」とは、具体的にどのようなことなのでしょうか?
アユ釣りでは、川底の石を見るのが「魚探がけ」みたいなものなんですね。石の色やツヤを見ます。アユは石に着いたコケを口でこすりとるように食べますから、たくさん食べてコケがめくれると、石の地の色が出てきて光り輝き、ツヤが出てくるんです。アユ釣り用語で「石が光っている」という状態です。そのような場所を見極めることができれば、効率の良い釣りを展開することができるんです。
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石の色とツヤですか。
そうです。石の地色がよく出ている場所を探すんですね。ただ、石の地色は川によって違います。例えば長良川なら黒っぽい色がいい状態だし、白川なら白っぽい色、板取川ならオレンジ色っぽい色がいい。コケの着いた石の広がる河床は全面がぼやけて灰色っぽく見えます。ハミ痕がないと「ちょっと曇っとるねー」なんて言い方をします。アユが食べるとハミ痕がついて、石が磨かれたように輝いて、その川の地の色が出てきます。それが光って見えてくるんですね。偏光グラスの良し悪しで、石の見え方は全く違ってきます。釣果に直結するポイント選びの要ですから、良い偏光グラスは必需品なんです。
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レンズカラーによっても見え方は変わってくるものですか?
はい。赤っぽい色が入っているレンズは石の輪郭がはっきり見えます。トゥルービュースポーツとかブラウン系のレンズですね。なので、石の大きな川ではトゥルービュースポーツを使って、逆にたらーっと変化なく流れる石の小さな川や、石が大きくても渓流っぽい暗めの川は、明るいイーズグリーンを選んだりと、使い分けています。思い出深いのは、2010年のダイワ鮎マスターズ。はっきりと覚えているのですが、この時のレンズはイーズグリーンでした。水質がちょっとおかしくてね、川底にアオノロがたくさん出ていたんです。アオノロって緑色ですから、イーズグリーンをはめると緑が浮き出てハッキリとアオノロの位置がわかるんです。見るものと同系色のレンズって、コントラストをはっきりさせてくれるんです。この時はアオノロを避けないと釣れない状況でしたから、イーズグリーンで見分けて優勝したのをハッキリと覚えていますね。この優勝は、間違いなく偏光グラスのおかげだと思います。
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色やツヤ以外に、川の石の見方はありますか?
川には大きな石もあれば中ぐらいの石もあるやないですか。基本的にアユって川底で生活しとるから、大きな石ってオトリにしてみたら、えらい大きな障害物なんです。自然に泳いでいる時は普通にかわしながら泳いでいくわけですが、オトリとして前に進ませようとすると、大きな石がじゃまになるわけです。だから大きな石があるところでは、オトリの進行方向を避けるように変えてやらないとだめなんです。大きな石を前にすると、オトリは進行を止めてしまいます。オトリが進行を止めてしまうと、かかりが悪くなるんです。良質な偏光グラスだと石を上手いことかわしながら釣ることができますので、これもすごく大事ですね。
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実際にナワバリを張っているアユを目で追うこともありますか?
見ている人はかなり見ています。僕はその中では見ない方ですけど、それでもやっぱり見てはいますよ。ただ、アユを見つけるのがすごく上手な人でも、光の加減なのか、川の状況によって「今日は見えんなー」という日があるんです。僕の場合、見ながら釣るクセをつけると、魚が見えない時に釣れないような気がしまして……釣り方が荒っぽくなってしまうんです。だから釣る前は川を一生懸命見ますけど、竿を振る時はあまり見ないようにしています。見えなくてもハミ痕さえあれば、アユは絶対にいますから。
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ほかに見ているものはありますか?
竿先や目印はもちろんですが、僕は自分の周囲もすごくよく見ています。偏光グラスが関係あるかと言えば、あまり関係はないかもしれませんが、目が疲れとったら周りを見るのも嫌になるでしょう。あまり質の良くない偏光グラスを使っていた頃は目がすぐに充血してしまい、そうなると周りをよく見ようとは思わなくなりますからね。何を見ているかというと、たとえば入れ掛かりしている人がそばにいたら、歩いて移動する際に、釣れている人のポイントの特徴を遠目に確かめたりもします。水深がこんなもんで石の大きさ、石の色がこんなふうに見えるのか……といった確認作業は普段から習慣になっていますね。良い偏光グラスは目が疲れませんので、そんな確認もしやすいと思います。
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目の疲れといえば、最近、度付きの偏光グラスを使われているそうですね?
はい、いい具合ですよ。ここ2、3年で老眼が入ってきたもんで、コンタクトをしたまま手元を見るとぼやけてしまうようになっていたんです。一方、コンタクトレンズの近視用の度の調整も、手元を見る時のために少し下げていますので、遠くを見ると少しぼやけてしまっていたんですね。そこで、コンタクトを外して度付きの偏光グラスに変えたら、とても具合がよくなりました。遠くはバッチリ目に合った度付きだからクッキリ見えるし、手元は偏光グラスをずらせば裸眼でよく見えます。とても快適で、これには数年ぶりのカルチャーショックを受けました(笑)。
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小澤 剛 おざわ つよし
1970年生まれ。愛知県豊田市在住。アユ釣りのメーカー主催四大大会(ダイワ鮎マスターズ、シマノジャパンカップ、オーナーカップ、G杯)のすべてで優勝の栄冠に輝いた唯一の存在。YouTubeチャンネル「友釣り無双」でアユ釣りの奥深さを発信。兄は小沢 聡さん。