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SALT WATER FISHING

ANGLERS VOICE

アングラーズボイス

金丸 竜児

RYUJI KANAMARU

掛けていることを忘れさせてくれるから
レンズカラーは一択です

視覚を多用して水中のストラクチャーをイメージするロックフィッシュゲーム。この釣りを牽引する第一人者・金丸竜児さんに、質の良い偏光グラスを欠かせない理由を聞いた。

ロックフィッシュの釣りは地形など視覚から得られる情報がとても大切だと聞きます。どのようなところを見ているのでしょうか?

私はストラクチャー周りにいる高活性で大型のハタ類を狙い撃つラン&ガンスタイルを好んでいますが、この釣りは海底の地形や根の形をできるだけ細かく知ることが釣果に大きな差を生みます。そのため偏光グラスを通した視覚情報をとても重要視しています。磯場やゴロタ場で釣りをする場合、見るべきところは背後の地形の傾きと、足元から水中に伸びる地形です。背後が急峻な地形なら目の前のポイントも急深だろうというように、まずはある程度水中の地形を予測します。その上で、見える範囲の水中の地形を偏光グラスを通して目視で確認していきます。浅場なら海底の地形がはっきりと見えますが、ハタ狙いの場合、水深数十メートルぐらいまで狙いますので、できる限り深くまで視線を送り、僅かな潮色の明暗で根の張り出しなどの地形変化を把握していく技術も必要となります。この際、偏光グラスの良し悪しにより、見え方は大きく変わってきます。

金丸さんは何色のレンズカラーを選ばれているのでしょう?

私はトゥルービュースポーツ一択です。これまでさまざまなレンズカラーを試してきましたが、タレックスのトゥルービュースポーツをかけた時、とてもしっくりきたんです。とにかくクリアで適度にコントラスト性能もありながらとてもナチュラル、しばらくすると、かけているのを忘れてしまうぐらいの自然なかけ心地に惹かれました。近視用の度を入れてますが、車の運転や街での普段使いにも重宝しています。あまりに普段から着用しているので、いざ釣り場で使おうとしたら家に置いてきてしまうこともあり、他のレンズカラーも使ってはみますが……なんか、しっくりこないんですよね。もう10年間ほど使っていますから、トゥルービュースポーツに目が馴染んでいるのだと思います。

状況に応じてレンズカラーを使い分けたりもしないのですか?

変えません。あくまでも私はトゥルービュースポーツ一択(笑)。もちろん、まずめのローライト時にはイーズグリーンがいいことは知っていますし、状況に特化したレンズの良さも理解してはいるのですが、私の場合、付けていることすら忘れられるぐらいに釣りに集中させてほしいので、そうなると一つの万能レンズを着用しつづけるのが性に合っているのだと思います。単に面倒くさがりなのかもしれませんが(笑)。あと、トゥルービュースポーツはとにかく目が疲れません。これも愛用しつづけている大きな理由です。

地形のほかは、何を見ていますか?

ロックフィッシュの釣りは地形もさることながら、そこに潮の流れがどのように当たっているかを把握することも大切です。ロックフィッシュの三大ターゲットはアカハタ、キジハタ(アコウ)、オオモンハタですが、私の中に「アカハタはグレ、キジハタはチヌ」というイメージがあります。アカハタはグレの好むような本流の潮が走る磯場が良くて、キジハタは潮通しが効きつつ波の静かな、チヌが好みそうな場所がいいという意味です。これを基本にしながら、流れの強弱やストラクチャーへの当たり方など、さらにできるだけ細かく見ていきます。

オオモンハタは根やストラクチャーよりもベイトフィッシュに付く魚です。ベイトとなる小魚たちは流れに乗って泳いでいますから、やはり潮の流れの把握が必須です。流れを見る基本は潮目ですが、潮目って帯状にくっきり見えているものばかりじゃないんです。磯場は起伏が激しいから流れが複雑で、大きな潮目だけでなく、ほとんど目に見えない小さな潮目が無数にあります。「なぜだかわからないけどあそこはよく釣れるな」って場所がありませんか? 私はそこに必ず理由があると思ってて、例えばそれは、目に見えない小さな流れがいい具合に効いているためかもしれません。このような小さな流れによる潮目を見つけるために偏光グラスを使います。また、そんな海面はザワザワしていますから、ギラツキを抑える意味でも偏光グラスは必須ですよね。さらに言えば私の場合、細やかなラインの動きを見るためにも欠かせません。

細やかなラインの動き、ですか?

そうです。たとえば真正面の25m沖に、2〜3mほどのストラクチャーが沈んでいるとします。潮が右から左に流れていたとすると、その潮はストラクチャーの右側に当たって、ストラクチャーの沖側と手前側に流れが枝分かれします。25mも先ですから、ストラクチャー自体を目で見ることはできません。ただこの時、25mよりも少し沖側にルアーをキャストすると、ルアーが沖側の流れに引っ張られて少しラインが沖にふけます。対して25mよりも少し手前側にルアーをキャストすると、手前の流れにルアーが乗ってラインがアングラー側にふけたりします。偏光グラスでこの僅かなラインのふける方向を確認することで、目に見えない海中のストラクチャーの存在を知ることができるんです。

見えないところもラインを見て把握できるというわけですね。偏光グラスは釣果に直結するアイテムなんですね。

いい偏光グラスを使うことで、釣果は確実に伸びているはずです。海中の地形や流れの変化を細かく知れば知るほど、攻め方は変わっていきますから。釣果が伸びない人って、同じことを漫然と繰り返していることが多いんです。ボトムを小突くような甲殻類パターンだけを延々やっていたり……。小魚を食べている時はワームを浮かして泳がせるなど、マッチしたアプローチをすることで釣果は格段と伸びてきます。釣りって本当に微々たることの積み重ねが、さらなる一匹の釣果につながりますからね。

最後に、金丸さんは夜間のライトゲームをすることも多いと思いますが、ナイトゲームにおける偏光グラスの必然性は?

私の場合、偏光グラスを夜に使うというよりも、日中の下見に必須です。特に初場所の釣りの場合は、夜に釣り場に到着していきなり釣り始めても、実際かなりきついです。日中、偏光グラスをかけてしっかり地形や流れの把握をしてから夜の釣りに臨むことで、釣果はがらりと変わってくるはずです。スマホの地図の航空写真も役には立ちますが、ポイントまでの距離感などは下見をしなければわかりませんからね。「自分は夜しか釣りしません!」という人にとっても偏光グラスは必須アイテム。ぜひ日中に海の中を覗いてみてほしいですね。

金丸 竜児 かなまる りゅうじ

1982年生まれ。福岡県在住。ロックフィッシュ、ライトゲームのスペシャリスト。大型のハタ類からメバル、アジまで、幅広いターゲットを相手に独自の釣法をテレビや雑誌などで伝える。ルアーメーカーRUDIE’S(ルーディーズ:https://rudies.co.jp/)の代表兼ルアーデザイナー。YouTubeチャンネル「RUDIE`S MOVIE」で新製品情報や各ルアーの使用法を発信中。