剣岳(つるぎだけ)というと、登山ファンの方であれば一度は聞いたことがあると思います。よく映画の題材にもなるので、知っている人も多いのではないでしょうか。山頂付近はほぼ垂直の鎖場で、難易度は高く、アマチュア登山家の憧れともいえる山。今回は剣岳に挑戦する、あるお客様のサングラス選びのお話です。
登山用のザックを背負ってお店に入って来られた50代前後のお客様は、一目でクライマーだと確信しました。お話を伺うと
「剣岳に挑戦しようと思っているんです。感染症の影響でどうなるかわかりませんが…」
との事。心中を察し、少し悔しい気持ちに… 私も登山が好きなことを打ち明け、お話を進めていくと
「ついに老眼がきて遠近両用のメガネを使っているのですが、サングラスも遠近両用で作れると聞きました。今までは遠くにピントを合わせただけのサングラスを使っていましたが、地図を見る時は外さないと見えないのが煩わしくて…」
もちろんタレックスレンズは、遠近両用で製作することも可能です!(遠近両用メガネとは、レンズの上半分が遠方視部分、下方へいくにつれて中間から近方視部分と度数が変化していくので、遠くも近くも見える優れもの!)
遠近両用のサングラスで登山をする際には注意点がひとつ。それは足元のゆがみです。
レンズの中心から下半分は手元用(近くが見やすい)度数になっているため、目線だけを下げて足元を見ると、視界がゆがむ場合があります。はじめは、階段をおりる時や足元を見るシーンでは少し怖いかもしれません。これが理由で遠近両用をためらっている人もいますが、実は慣れるととても快適で、目が若返ったかのように気持ちの良い見え方になります。
今回のお客様は普段から遠近両用のメガネを使っていて、見え方にも慣れていたので問題なさそうでした。
次はレンズカラーのご説明に。数ある中から選んでいただいたのが、「ラスターブラウン」
決め手は、足元のクッキリ感と、ガスっても(霧や天候の変化で視界が暗い時)サングラスをかけ続けられるレンズの濃さでした。茶系の色味のサングラスは、モノの輪郭がクッキリと強調されるので、浮石や岩場での岩の弱点やホールド(足や手をかけるところ)を探しやすくなります。
登山道の足元や岩場での視認性の良さを考え、安全を確保してチャレンジできるようにと、このカラーになりました。
フレームは、『サイトマスター/オプティモ』に決定。
実はもともと釣り用に開発されたフレームですが、遮光性とフィット感に優れていて登山にもオススメのフレーム。サングラスフレームはレンズが大きく湾曲したものが多い中、こちらはメガネと同じレンズカーブですので、見え方に違和感がありません。
見た目は少しゴツゴツしたイメージがありますが、登山用ヘルメットと着用すると少し派手かな?と思うぐらいが、かっこいい!(個人的にですが…)
「実はこのためにお金を貯めていたんです!」
と嬉しそうにお話くださるお客様。大変ありがたく、とても喜ばしいお言葉でした。
というのも、遠近両用のレンズは、普通の度付きレンズよりも特殊な設計となるので、お値段が少し高くなります。(設計・金額は度数により変わりますのでお問い合わせください。)ですが、見え方の心地よさと利便性にはご納得いただけるはず!まずはご相談ください。
納期は何とか出発までに間に合い、慣らし山行もできそうとのことで、とても楽しそうな表情でお店を後にされました。(私までワクワクして、夜に私も地図を広げたのはここだけの話…)仕上りがとても楽しみです!