寒い冬が過ぎ、気温が一気に上昇する春から夏。この時期の山行きを楽しみにされている登山ファンの方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんが意外に見落としがちな必需品があるのをご存知ですか?
今回は、乗鞍岳でガイド業をされている中部山岳ガイド協会所属小峰 邦良さんのアドバイスを元に、必ず用意しなくてはならないモノのなかで見落としがちな必須アイテムをご紹介したいと思います。
目次
安全性と快適性をアップさせる登山アイテム
紫外線対策の重要性
登山用サングラスの正しい選び方 フレーム編
登山用サングラスの正しい選び方 レンズ編
登山にオススメのサングラスをピックアップ
安全性と快適性をアップさせる登山アイテム
登山には、まず「持ち物リスト」なるものが山行ごとにありますよね。
高山にチャレンジされる方なら、夏でも雪が残っているところもあるわけで、山旅を安全に楽しく遂行するためには必ず用意しなくてはならないモノが書かれたリストです。
そのなかの必須アイテムとして記載されている、ザック、登山靴、レインウェア、行動食、非常食などは、皆さん非常に意識が高いはず。特にレインウェアに関してはブランドやカラーコーディネートは勿論、素材や伸縮性まで、かなり拘って選ばれるはずです。登山靴に至っては、さらに山のグレード、フィールドの気温、フィッティングに重きを置くなど、選ぶ時は事前によく調べてから購入されることでしょう。行動食は最近の登山ブームに乗じて品数も豊富な為、各々の趣味嗜好を楽しみながら準備を進めていると耳にします。
ウェアは暑さ・寒さ・蒸れ・濡れなどから身を守り、靴類は単純に足を保護し行動をサポート、行動食はエネルギー補充と疲労回復になくてはならないモノ。確かに、どれが欠けても安全に登山を楽しむことはできませんね。
納得のいく登山靴を購入し、温度や天候の変化にも耐えられるウェアもコーディネートできた。ジャストサイズのザックに行動食、非常食などを詰め込む。あとはマップと携帯かな…夏山に向けて準備は万全。となるところですが、実はもっと大切なことがあるのです。それは紫外線対策!
アウトドアである以上、紫外線対策はとても大切なこと。
紫外線対策の重要性
-紫外線は1000m登れば10%強くなる-
海外では、普段の生活でも常識となっている紫外線対策。UVという言葉は、いまや化粧品などのテレビCMで普通に使われるようになり、皮膚や目に悪影響を及ぼすことは皆さんご存知でしょう。そして、この紫外線は、厄介なことに標高が高くなればなるほど強くなる性質を持ち、標高が1000m上がれば10%強くなるといわれています。つまり山は高く登れば登るほど、強い紫外線を浴びることになるわけです。当然、守らないといけない。けれども、国内登山ではまだまだ意識が低いのが実情です。
私たちが独自におこなったアンケートでは、標高が高くなると紫外線が強くなること、そして紫外線対策が重要なことは知っているのに、対策はあまりしていない方がほとんど、という結果が出ています。
-日焼け止め、ちゃんと用意したから大丈夫!?-
腕や足など露出した部分に関しては、最近流行のアクティブに動ける薄い生地のベースレイヤーで対策できている方も増えてきましたね。けれども顔が露出している以上、万全とはいえません。
「大丈夫、ちゃんと日焼け止めクリームも用意してるから!」と安心している方が多いようです。では、あなたの大切な目は守れていますか?目に日焼け止めクリームを塗ることは、もちろんできません。
山岳ガイドの小峰さんはこのように教えてくださいました。
「多くのゲストさんを日々ガイドしていますが、身体から直に受けるダメージには気を遣っている方が多いが、ジワジワとダメージが忍び寄る眼球までは意識が向いていないのが現状です。」
-目は登山にとって、とても大事!-
●登りはもちろん、下山のときに安全な次の一歩を踏み出すために足元を確認するのも目
●危険を察知し、安全なルートへの変更を判断するのも目
●登山の楽しみであるキレイな景色を見るのも目
そうです。皆さん、登山を永く楽しむには有害な紫外線から目をしっかり守る必要があるわけです。目に対する紫外線対策、この重要な役目を果たすのがサングラスです。ここからがポイント!どんなサングラスでも良いというわけではなく、紫外線をしっかりカットするレンズが搭載されたサングラスが必要です。
雨風からカラダを守るレインウェアや地面の岩角から足を守る登山靴と同じように、有害な紫外線から目を守ってくれるサングラスは、とても重要なアイテムということはお分かりいただけたのではないでしょうか?
登山用サングラスの正しい選び方 フレーム編
有害な紫外線から目を守ってくれるサングラスはとても重要な登山アイテムだとお伝えしましたが、一体どのようなサングラスを選べばいいのか?「サングラスといっても種類も多いし、登山用に、どれをどう選べばいいのかわからない…」
そこで、まず皆さんは登山用サングラスについて、どのようなイメージをお持ちですか?
『買ったことあるけど、すぐにズレてきて、うっとうしくて…』
『景色の色が変わるから、結局はずしている時間の方が多くて…』
など、登山用サングラスに対して、あまり良いイメージをお持ちでない方も少なくないようです。
山岳ガイドの小峰さん曰く
「サングラスを意識したとしても流行のブランド、フレーム選び、コストパフォーマンスを重要視している方が大半を占める。」
とのこと。軽視しているわけではないけれど、自分に合った登山用サングラスを、どうやって選べば良いのか分からない、というのが正直なところではないでしょうか。
登山を楽しむために!サングラス選びのポイントをフレームとレンズと分けて説明させていただきます。では、まずフレーム選びから。
登山に適したフレーム(デザイン)選び3つのポイント!
■軽さ
鼻や耳への負担を軽減するには、まずサングラスそのものの軽さが大切。1gでも軽い方が顔にかかる負担は少ないですよね。でも実は、軽ければ良い!というわけではないんです。大切なのは重心のバランス。出来るだけ後方(耳側の方)重心に設計されているサングラスの方が装着感が軽く、下を向くことが多い登山には大切です。
■骨格に合った設計
どちらかというと上方よりも下を向くことが多いのが登山。さらに汗をかくことが多いのも特徴ですよね。つまり、下向きで歩きながら汗をかいてもズレ落ちないフィット感が大切なポイントです。このフィット感を得るには、ズバリ!日本人向けに設計されているかがポイントです。鼻筋が通って顔幅の狭い欧米人向けに設計されたサングラスでは、鼻に乗るはずのノーズパッド部分が下がってきたり、テンプル(つる)に挟まれた耳やこめかみがだんだん痛くなる…これらを解消するためには、日本を含むアジア人の骨格に合わせて設計されたフレームを選ぶと良いでしょう。
■遮光性の高さと視界の広さ
遮光性の高さは余計な光はもちろん、紫外線の侵入も抑えてくれます。けれども、ただ遮光性が高ければいいのかというとそうではありません。進行方向の先にある危険を少しでも早く察知し、滑落の危険を避けるために、視界は広いに越したことはありませんよね。レンズサイズが大きめで視野が広く、それでいて左右の状況が感じ取れるモノがいいでしょう。
顔カタチがそれぞれ違うように、骨格や耳や鼻の高さも人それぞれ違います。お店で複数のサングラスを実際に掛け比べて選べば「山行きの途中ではずしたくなる」なんてことはないはずです。
登山用サングラスの正しい選び方 レンズ編
大切なのは色の濃さだけじゃない。
-登山に適したサングラスのレンズ選び、5つのポイント!-
POINT 1 有害な紫外線を確実にカット
登山シーンは標高も高く、地上より紫外線量は多くなります。紫外線のなかでも有害な波長域までしっかりカットできる性能かどうかが大切です。レンズの濃さは紫外線カット率に関係ないのでご注意を。信頼のおける日本製レンズなら安心です。
POINT 2 暗すぎないレンズ
山間は天候が変わりやすい環境。その環境で下方向を見ることの多い登山での視界の暗さは危険を伴います。早朝から夕方まで、安全に登山を楽しむには日本人の目に合った、暗すぎない明るめのレンズカラーが断然オススメです。
POINT 3 地面からの反射をカット
登頂から下山まで、足元を見ることが多い登山では、直接光を抑えるだけでは快適とは言えません。強い光や紫外線を抑えると同時に、地面からの余計な反射もしっかり抑えられる偏光レンズがベストです。地面の凸凹がしっかり見えることで危険を察知し、不用意なケガを避けることにも役立ちます。
POINT 4 距離感に誤差のないレンズ性能
自然の山を登る、つまり足元は平たんではありませんよね。岩や石、時には倒木&小川を越えたりすることもあるでしょう。レンズとしての重要な要素、距離感のズレがないことが大切です。レンズ越しに見える対象物までの距離感が違うと、足を踏み外すことにも繋がります。光学的に優れた正しい距離感を得られるレンズが重要です。
POINT 5 解像度の高いレンズの重要性
景色を楽しむことも登山の醍醐味のひとつ。レンズ越しに見た視界がモヤッと濁っていては景色を楽しむことはできません。色のついたサングラスレンズであっても、解像度が高く裸眼のように、あるいは裸眼以上にハッキリ、クッキリ見えるレンズが重要です。
いかがでしたか?
過去に登山用としてサングラスの購入経験のある方なら、どれか思い当たる部分があるのではないでしょうか?この「登山を快適にするサングラスのレンズ選び5つのポイント」を意識してサングラスを選べば、今よりもっと快適に、そして疲れを残さず登山を楽しむことができるでしょう。
登山にオススメのサングラスをピックアップ
「安全性と快適性をアップさせる登山アイテム」としてオススメのサングラスを画像や特徴と合わせて、いくつか紹介させていただきます。
まず、登山を永く楽しむには有害な紫外線から目をしっかり守る!でしたよね。ですのでレンズサイズは大きい方がベターです。あと、フレーム全体もボリュームのある方が目元全体をカバーしてくれるので安心です。そして軽さも重要。いくら大きめで視界が広くても重いと下にズレてきて、逆にストレスになってしまいます。
では、快適に登山を楽しむためのオススメサングラス3つをご紹介しましょう。
OZNIS FLAT 02
1つ目はコチラ!OZNIS FLAT02
レンズサイズはもちろん、フレームサイズも大きめで有害な紫外線から目をしっかり守ってくれるのでオススメです。男女問わず掛けられるシンプルなデザインは、どんな登山ウェアにも馴染みます。そして重さは、わずか23g!実際に掛けると、ふわっと軽く感じます。ナイロン素材で経年変化(変形)が少ないのも嬉しいですね。
OZNIS FLAT 10
2つ目のオススメはコチラ!OZNIS FLAT 10
フレームが視界に入るのが気になるという方にはコレ!目の前、全部がレンズで覆われる感じがグッドです。こちらの重さはなんと18g。調整可能なノーズパッド、耳にかかる部分には汗をかいても滑りにくいラバーパッド、この二つの機能が下山時の縦の動きにも安定感抜群です。日本人の骨格に合わせたベース設計なので海外製に比べるとフィット感が断然違います。
TALEX EM6-D03
3つ目は普段メガネ着用で登山を楽しむ方向けのオーバーグラスモデル!最新成型技術で最薄部0.8mmを実現したTALEXオリジナルEM6-D03は、とにかく軽量。このシルエットでは驚きの33gを達成しています。快適な視界とあいまって安全に登山を楽しむことができるでしょう。
“まるで、あつらえた登山靴のよう”
今回、ご紹介した3つのモデルは、どれも日本人の顔の形にピッタリ沿うように開発されたもの。海外製サングラスによくある頬への接触や眉間に隙間が開いたりしにくいので、サングラスを掛けてるという感じがとても少ないのでオススメです。
そして、大切な視界を左右するレンズは安心のTALEXレンズ。ご紹介した5つのポイントをすべてクリアする数少ない国産レンズです。60%以上ハンドメイドで作られるこだわりの視界は、ユレやゆがみのない解像度の高い視界で、足元も景色も普段の感覚で見ることができます。
TALEXレンズの濃さや色合いは目的や好みに合わせて自由に選ぶことができるので、気になる方はお近くのTALEX PROSHOPで相談してみてください。自分の顔の形と好みに合わせてフレームとレンズを組み合わせれば、あつらえた登山靴のようにジャストフィットするサングラスで登山が楽しめます。
実は私、30年以上前に4人チームで槍ヶ岳に一度登ったことがあります。当時のウェア・登山靴・ザックは、今のように軽量・快適ではなく、登頂から下山まで結構ハードだった記憶があります。雨に濡れると、すべてがどんどん重くなっていく…そんな印象が強く残っています。当時に比べれば、今は登山を楽しむための装備はとても充実していますね。同じ山行きでも、昔より断然楽しめるようになったのではないでしょうか。
あとは日本の登山環境に適したサングラス!このブログにあるように、自分の顔や目に合ったサングラスで、有害な紫外線や余計な光をカットすれば、今よりもっと快適に登山を永く楽しめることでしょう。